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不安になる助手席
高校生の頃の話
私はその頃、大学生と付き合っていました。
彼は同じ高校の先輩だったのですが
大学に入ってからというもの、バイトにサークルに新しいお友達にと、充実して大忙しのようでした。
なんだか私に対しての態度もそっけない様な気がして
「私なんかおらんくても楽しいだろうし、可愛い女性ともたくさん出会いがあるんだろうな」と思っていました。
何だか彼が、遠くに行ってしまう気がしました。
たまのデートは、彼が車で迎えに来てくれていたのですが
助手席のシートが倒されていると
「誰が乗っていたんだろう」
「女の子かもなあ、嫌だなあ」
「シートを倒すってかなりリラックスして過ごせる間柄だろうな」
なんて思って、複雑な気持ちでそこに座りました。
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ある時、彼が他の卒業生連中と学校に顔を出しに来たことがありました。
彼らのお見送りをする際、私や他の後輩連中は玄関に出たのですが
彼の車の助手席には、一緒に顔を出しに来たA先輩、女の先輩が乗り込み、私たちに手を振って帰って行きました。
見たくなかったな〜って、泣いてしまいましたね(笑)
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今はもう大人なので、助手席に異性が乗るケースだってあるだろう!とか
遊びの一つや二つもあるでしょう!とか思えるのと
特別に操をたてる相手もいないので、嫉妬という感情が湧き起こらなかったりするのですが。
なんだか当時は、助手席というものに
とても特別な感情を抱いていましたね。
「私の特等席!」とは言いませんでしたが、彼からは「君の特等席だよ」って言ってほしかったのかも(笑)
ふと思い出した出来事でした。
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